パトリック・ウィルソン
Patrick Wilson

パトリック・ウィルソンが描く世界は空間を意味する。単なる三次元空間だけではなく精神的、感情的空間までをも光の表現を以って描 き出している。複数の細く、透明なアクリル的な光の層と、考察されつくした建築学的四方形と線が織りなす表現は彼が居住するロサン ジェルスという都市が持つ美的な特徴をスモッグ、霞、光で表現しているのである。
ウィルソンの作品はロサンジェルスという都市が持つ予想不可能な欲求、恒常的に変化し続ける都市風景、不自然な気候パターン、さら には車に頼らざるをえない社会というものに似た複雑さを表している。不透明な平面、幻想的な区切られた空間、開いたままの矩形や線 により描き出される世界は、人間が車内からどのようにして視覚的に捉えられる断片を―瞬時に見て取られる物の形、未加工の連続性、 実際に観察された物とが合成され、また、各々の記憶からそれが「真実」であると理解させる想像力編集の結果であかのようである。
ウィルソンはその作品が観る者をスモッグにより生み出された夕焼けで魅了し、ラッシュ時の緊張や不安、またそのリズムが反射するの を望んでいる。ウィルソンの作品はどこかロサンジェルスいう、数限りない各々の現実がぶつかりあい、同時に強力な巨大な個を生み出 す町に似た、複雑さ、豊満さ、そして強さを観る者に感じさせるのである。